loader image

日本ワイン店 じゃん

Instagram facebook

ワイナリーの紹介

楠わいなりー

長野県

千曲川を見下ろす扇状地から

日本ワインの楽しみ方

長野県須坂市。栗で有名な小布施市から車で南に20分ほど走った場所に楠わいなりーはあります。

■山菜の天ぷらと、出逢い

私と楠わいなりーの出会いは、2022年5月の連休に家族で出掛けた、須坂市の隣にある高山村のキャンプ場でした。5月であっても、標高800メートルを超えるこの辺りはまだうっすらと雪が残っており、雪の間からたくさんの「ふきのうとう」が顔を出していました。食いしん坊の私達は、これはもう天ぷらにするしかない!と、そのふきのとうを摘み、近くの産直売り場でコシアブラとこごみも買い込んで、夕飯を山菜の天ぷらにしました。その時に飲んだのが、産直売り場で何気なく買って来た楠わいなりーの「日滝原(ひたきはら)」という白ワイン。揚げたての山菜の苦味に、雪の中で冷やしおいて空けたこのワインの豊かな潤いがベストマッチ!!油をさっと流してくれる爽やかさも絶妙で、その美味しさに感動してしまいました。感動した勢いそのまま、次の日に急遽、楠わいなりーにお邪魔し、是非当店で取扱いさせて頂きたいと直談判させていただきました。

キャンプ場で飲んで一瞬で1本空いた「日滝原」

■日滝原という畑

日を改めて訪問させて頂いたのは11月下旬、「ちょうど先週で全ての畑の収穫が終わったころです」というブドウ畑。特に私が惚れ込んだ「日滝原」をつくっている畑を中心に、営業の岩崎さんにご案内いただきました。「日滝原」という白ワインは、セミヨンとソーヴィニヨン・ブランという2つのブドウ品種をブレンドした白ワインです。この2種のブドウ畑がある地区は「日滝原」と呼ばれ、商品名の由来となっています。

長野県の佐久盆地や上田盆地を通る雄大な千曲川(ちくまがわ)流域にワイナリーが点在しているエリアを千曲川ワインバレーと呼びますが、楠わいなりーの畑は、志賀高原のある山脈から流れ出たいくつもの小さな川が千曲川に合流していく斜面(扇状地)の中腹にあります。単に畑が斜面で南(正しくは西南西)を向いているだけではなく、標高が高いエリアから流れてくる川の水の影響で気温が下がり、常に風の流れが起こることで湿度が下がる。ブドウ栽培にとっての様々な好条件が組み合わさっているエリアがこの「日滝原」だそうです。

千曲川を見下ろす斜面にある日滝原の圃場

ちょうど収穫が終わったばかりだったので、少しだけ樹に残っているブドウを畑ごとに食べ比べて回るという、贅沢な畑見学ツアーを開催していただきました(お客は私のみですが)。ソムリエでもある営業の岩崎さんに説明を伺いながら、日照条件や土壌の違いについて説明を聞き、実際にブドウを食べて違いを確かめていきます。特に驚いたのは、ピノ・ノワールの2つの畑のブドウの味わいが全然違うこと。畑の条件とその年の天候でどのようなブドウが出来、それをどのようなワインにしていくか、考えなければいけないことや対応しなければいけないことは山ほどあります。改めてワインづくりの奥深さに感心しきりでした。

フラッグシップ商品向けピノ・ノワールの畑

■実力派の楠わいなりー

楠わいなりー社長の楠茂幸さんは、20年のサラリーマン生活を経て、40歳を過ぎての起業。短い期間でワイン造りを身に着けるためオーストラリアのアデレード大学に留学し本格的にブドウ栽培とワイン醸造を学び、2004年に故郷である須坂市でワイナリーを設立されました。数々のコンクールでの受賞歴がその実力を物語っていますが、楠わいなりーさんのワインはどれを飲んでもとてもエレガントな美味しさです。私としては、「日本食に合うワイン」をテーマに作られた「日滝原」を是非、ご賞味いただきたいです。

文/写真:加藤曜子

ワイナリーの紹介へ戻る