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日本ワイン店 じゃん

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ワイナリーの紹介

Rue de Vin

長野県

ひとりの熱意が、人が集い活気づいた”ワイン通り”をつくり出す

日本ワインの楽しみ方

Rue de Vin(リュードヴァン)は長野県東御市にあるワイナリー。長野県を経て新潟県へ流れていく大きな川「千曲川(ちくまがわ)」沿いは、実力のある大小のワイナリーが密集し「千曲川ワインバレー」と呼ばれています。千曲川から少し丘を登った場所にあるのがRue de Vin。濃い空色の古いルノー車が停めてあり、同じ色のサッシの大きな窓が入り口のおしゃれな建物が、ワイナリーに併設するカフェレストラン。ワインのラベルも建物のデザインも、エレガントさとカッコ良さを合わせたスタイルが確立されていてとても素敵です。

 

素敵な建物のカフェレストラン
入り口にあるRue de Vinのワイン瓶

ブドウ畑の仕事が大忙しの8月中旬に、代表で醸造家の小山さんに畑を案内していただきました。「ブドウにとっての土の中は、人にとってのお腹の中と同じなんだよ。」と、良いワインをつくるために、健全なブドウを育てる土づくりが重要であることを教えてくださった小山さん。草花や昆虫が生息し、良い微生物がたくさんいる豊かな生態系を作り出せば、過度な農薬や肥料を使わずとも健全なブドウが育ちます。

畑を案内くださる小山さん

Rue de Vinのワインは、このように健全な土からなる健全なブドウだけを使うので、収穫後に絞った果汁の色がとても綺麗なんだそうです。そのため添加する酸化防止剤(亜硫酸塩)の量もごく僅かで済みます。Rue de Vinのワインは欧州品種(シャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、ピノノワール等)による赤ワイン、白ワイン、仏シャンパーニュ地方の製法による本格スパークリングワインなど、どれも洗練されたとてもエレガントな味わいです。

ブドウ産地としてこの土地に惹かれ、小山さんが畑を開墾し始めたのは2006年。当時この辺りは林檎畑が荒廃し、人の手が離れることで雑木林となっていました。小山さんは畑ひとつずつ、木を伐根し、自らの手で開墾し土づくりをしていったそうです。里山の風景は人の手が無いと保たれません。小山さんが土づくりに着手することで、この土地がもう一度、里山として息を吹き返し始めました。少しずつ地元の方の信頼を得ることで、なんと150人もの地権者の土地をひと区画ずつ、土壌を生き返らせブドウ畑にしていった小山さんのパワーは計り知れません。

我が子を見るような小山さん眼差しが印象的。

Rue de Vinは、フランス語で「ワイン通り」という意味です。1つのワイナリーを起点として、この1本の道沿いに、レストランが出来、農家が増え、オーベルジュが出来、という具合にこの「ワイン通り」が延びて活気づいていくように、との想いが込められた名前です。

小山さんの言葉で印象的だったのが、「世界で戦えるワインづくりっていうのは、日本ワインを海外で売ることじゃなくて、日本には日本でつくった美味しいワインが充分あるから、海外から買わなくていいと思えること。」という言葉です。

Rue de Vinの畑の隣の御堂地区が、市とJAの計画で新たに27haという日本でも有数の広さの圃場が出来る予定です。小山さんも、この御堂地区に新たに圃場をもつ予定で、新圃場ではIoTや機械化を取り入れて作業の効率化を図り、同じ御堂地区に入る予定のワイナリーが共同で使える設備を用意することを検討中です。日本でブドウを育てワインを作るだけで、事業として成立させていくんだという小山さんの強い意志で、どんどん物事を前に進めていく姿がカッコ良く、その生き方が小山さんがつくる「カッコ良さとエレガントさ」を両立したワインに反映されているのだと思います。

「ヤギも飼ってチーズも作りたいんだよね」と目を輝かせながら畑をずんずんと歩く小山さん。「仕事は楽しく誇り高いものでなくちゃね」とさりげなく仰った言葉が、御堂地区の圃場から見える壮観な景色と共に、私の脳に深く刻まれました。

御堂地区の圃場を眺めながら計画を語る小山さん。

 

文/写真:加藤曜子

 

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