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日本ワイン店 じゃん

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ワイナリーの紹介

旭洋酒

山梨県

土と優しさの世界に浸る

日本ワインの楽しみ方

 ワイナリーが密集する、皆さんご存じの勝沼や塩山から西に車で15分ほど走った場所に位置する山梨県山梨市。その住宅街の奥に、ひっそりと佇んでいるのが旭洋酒有限会社。小さなショップの奥に、古いけれどきちんと手入れのされている醸造所があります。

「ソレイユワイン」は共同醸造時代から続く旭洋酒の商標。今も当時の作り方を踏襲した「ソレイユ」というラインナップがあります。
昔の共同醸造所を引き継いで

 ここは元々、地元のブドウ栽培農家の方たちが共同出資し、自分たちのブドウを持ち込んで葡萄酒を作っていた共同醸造所でした。2002年、段々と出資農家が減り、解散することになった旭洋酒を、それまで山梨県内の別のワイナリーで働いてたご夫婦が引き継いで営むことになりました。それが現在の旭洋酒を切り盛りされている鈴木ご夫妻。お二人が引き継ぎ<第二旭洋酒>となって2022年で20周年だそうです。

お二人の世界観で

 旭洋酒は、お二人が20年の歳月をかけて作られた、独自の世界観と佇まいがとても素敵なワイナリーです。例えば、醸造所内にある、かつての貯蔵用コンクリートタンクは、側壁を壊して3畳ほどの事務室として使っています。その中にアンティークな木の机と椅子があり、さりげなく絵が飾ってあったりするのです。ショップ兼事務所の中には、畑で剪定されたブドウの枝を釉薬にして陶芸家の方が作った素敵な酒器が売っていたり、ショップや醸造所のそこかしこに、アーティスティックな素敵さを感じるのです。

元貯蔵タンクの事務作業スペース
梯子など古いものも丁寧に使い続けています
畑には虫もモグラも

 7月の中旬、夏の暑い日に旭洋酒の自社畑にお邪魔しました。お伺いしたのは、ワイナリーの近く、少し車で登った丘にある畑。見晴らしの良い傾斜のついた土地にメルローやシラーといったブドウ品種が実を付けていました。

 

 旭洋酒の「ルージュクサカベンヌ」という赤ワインのラベルにはモグラが描かれています。これは畑に実際にモグラが遊びに来ているからだそうです。旭洋酒の畑は草生栽培を取り入れています。草刈りはしても耕さず、雑草に生息する虫や微生物のチカラで土を耕す方法です。殺虫剤や結実(ブドウの実が成ること)してからの化学農薬の使用はせず、健全で自然なブドウが育っています。私の横で、「マメコガネがいないねぇ」などとスタッフの方と話をする妻の鈴木順子さん。会話には私の知らない虫の名前が次々と飛び出していました。人付き合いをするように、ブドウや虫とも、会話をしながら付き合っていらっしゃる様子が印象的でした。

鈴木夫妻の人柄とセンスが滲み出るワイン

 醸造を担当するのは夫の剛さん。とても穏やかで優しい方です。20年もご自身のワイナリーを継続し、全国に続々と誕生しているワイナリーからしたら大先輩格。洞爺湖サミット(2008年)の夕食会にワインが採用されるなど高評価を受けているにも関わらず、偉そうなことも、人を試すようなことも全くないのです。土や虫、ブドウや酵母と向き合いながら丁寧に作られるワインは、優しくて、畑の土を感じられ、でも複雑な香りがします。ワインには人柄が出ると言いますが、まさにお二人の穏やかながら芯のある人柄と雰囲気が滲み出ています。その優しい美味しさに包まれるのが心地良く、もう一杯もう一杯と飲んでいると、気が付くと1本空いてしまっているのです。

文/写真:加藤曜子

 

 

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